2019年12月18日水曜日

失業保険の給付制限期間短縮の狙いは給付機会の制限か?

2020年度から失業保険の給付制限期間が3か月から2か月へと試験的に短縮されるらしい。一見素晴らしいことのように思われるが、はたしてこの改正の狙いは何か?

ハローワークは今日も大盛況!

失業手当の給付制限2カ月に短縮 自己都合退職、現行3カ月から
雇用保険制度の見直しを巡り、厚生労働省の労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の部会は13日、自己都合で退職した人が失業手当を受け取れるようになるまでの給付制限期間を試行的に現在の3カ月から2カ月に短縮する案を了承した。政府は多様な働き方を推進しており、転職しやすい環境整備が狙いだ。

給付制限は安易な離職や手当の受給を抑制する観点から設定。現在、会社都合ではなく、転職のため自ら退職した自己都合の人が失業手当を受給する場合、3カ月経過するまで給付されない。これを5年のうち2回までは2カ月に短縮。2020年度に試行し、2年後をめどに検証する。(共同)


この失業保険の給付制限という仕組みはどうもピンとこない。

そもそも会社都合だと失業保険は7日後から支給されるのに、自己都合なら3か月と7日後というのは謎すぎる。

安易な離職や手当の受給、いわゆるモラルハザードを抑制するためだというが、待期期間を置くことでその問題が本当に改善されているのか検証しているのだろうか?

そもそも3か月の待期期間を設けたところで、モラルハザードが改善されるかどうかは甚だ怪しい。

ハローワークでの求人内容を見ていると、月給14~5万円程度のものがほとんどで、20万円を超えるようなものはほぼ無い。

これだと下手に就職するより失業保険を受給した方が実入りが良いので、満額受け取ってから就職活動に臨むようになる。

また、支給日数もおかしい。

自己都合退職の場合、勤続1年以上の場合の給付日数が90日分なのに対し、勤続20年では150日。その差はたった30日だ。これっておかし過ぎないか?

勤続20年を基準とするなら1年目の支給は15日分にするか、また勤続1年を基準とするならば20年で1,800日分支給しないと本来、整合性が取れないのではないか?

短期で退職する方が制度上有利になっているのだから、短期間で退職を繰り返すモラルハザードが抑えられる訳がない。


私案だが、現状の支給ベースを維持するなら、なにも失業保険にする必要はなく、積立金にすればよい。

雇用保険料の掛金は一般の事業の場合、労使双方で合わせて年間所得の0.9%。

これをそのまま積み立てて、退職年数×(年収×0.9%)分を離職時に離職者に支給すれば良い。

年収450万円なら1年分の支給額は40,500円で、10年勤務で40.5万円、20年で81万円、30年だと121.5万円と、現在の給付水準とほぼ変わらない。

失業保険の支出は年々大きくなってきており、現在、財政収支差損は年間8,000億円を超えている。

失業保険積立金の残高は約4兆円なので、このままいくとあと5年でゼロになる。


国が狙っているのは失業保険の回数制限。

これまで失業保険給付は、要件さえ整えば何度でも支給されてきた。

しかし今後は、今回の5年で2回の回数制限を突破口に、失業保険の支給そのものに制限をかけてくることが予想される。

一番の解決策は景気回復しか無いのだが・・


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