企業から就職の内定を受けた学生が、就職先へ内定を断るためのツールなのだとか。
謹んで辞退させて頂きます |
「企業は不採用の学生一人一人に直接会って謝罪しないのに、そんなもの電話で断れば十分だ」という意見が意外に多い。
まだ世に出ていない若者ならこの意見も仕方がないが、中には経済コンサルタントやっているような大人までもが同じ意見を書いているので、これにはちょっと驚いた。
法律をちょっとかじっている人には分かることだが、不採用と内定の辞退は同レベルには論じられない。
不採用とは、法律的には就職の申し込みに対する不承諾。そもそも契約が成立しておらず、何らの権利義務も発生しない。
電話1本だろうが、お祈りメールで断ろうが何ら問題ないものだ。
これに対して内定は、「始期付きの解約権を留保した労働契約」との最高裁の判例がすでにある(昭和54年7月20日最高裁第二小法廷判決)。
「始期付きの解約権を留保した労働契約」とは何か。
それは入社するまでの間に、採用内定通知書や誓約書に定めた採用内定事由が生じた場合、労働契約を解約することが出来る旨の合意を含んだ労働契約だ。
契約として成立しているので、内定以後は企業側は客観的に合理的と認められ、社会通念上相当な理由がなく一方的に内定を取り消せば、学生側は損害賠償を請求できる。
反面、学生側もこれを辞退する場合は、法律通りの対応が必要だ。
具体的には2週間の予告期間を置いたうえで内定を辞退すれば、有効に労働契約を解消することが出来る。(民法第627条1項)
この労働契約の解消の規定は内定の辞退も会社の退職も全く同じ。
形式的には口頭でも文書でも契約解消は有効に成立するので、電話やメールで辞退の意思を伝えるだけで充分だ。
しかし、受け取った受け取らないなどのトラブルを避けるためには会社側に間違いなく辞退の日時と意思を伝える必要がある。
メールは日時も内容も記録でき、確かに便利なツールだが、相手側に確かに届いたかどうかの客観的な証明力がまだ弱い。
着信していない、開かず捨てたと言われれば、証明するのに手間がかかる。
証拠を残すならやはり文書が確実だ。
簡易書留や配達証明等を使い、会社側が確かに受け取ったという客観的な証拠を残しておこう。
リタイア志向の皆さんは、正しい法的知識を身に着けておくことが肝要だ。
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