2020年1月18日土曜日

不動産の仲介手数料に気をつけろ

不動産賃貸の仲介手数料について、仲介業者が国が定める0.5ケ月分を超える1ヶ月分の手数料を徴収したのは違法であるとして、返還を命じる高裁判決が確定した。


勝ちました~♪
もともと賃貸物件の仲介手数料は貸手・借手を合わせて賃料の1ヶ月分(消費税別)が上限と、国土交通省告示に定められている。

つまり原則では、依頼者の一方から受け取ることが出来る報酬の額は0.5ヶ月分以内なのだ。

ただしこの告示には例外があり、「当該媒介の依頼を受けるに当たって当該依頼者の承諾を得ている場合を除き…」とある。

すなわち不動産仲介業者が仲介の依頼を受ける際に依頼者の承諾があれば、報酬の割合は変更することが出来るのだ。

つまり依頼者の承諾さえあれば、借主のみに1ヶ月分の手数料を負担させて貸主はゼロとすることも、またはその逆も可能というわけ。


今回問題だったのは仲介業者が、仲介の依頼を受けるに当たって借主の承諾を得ずに1ヶ月分の手数料を請求したこと。

おそらくお客さんに物件を紹介した後で、手数料の話をしたのだろう。

物件を紹介した後や、ましてや貸主との賃貸借契約を締結するような段階で「手数料1か月分お願いします」と言ってもダメだということ。

裁判所は後出しジャンケンは認めないということだ。

おそらく仲介業者も長年の慣行で悪気は無かったのだろうが、それはこの際通用しない。

仲介業者としてはお客様の承諾をとっていたつもりだったのかも知れないが、その方法が不十分だったのだろう。


不動産業界では国土交通省の告示などに反しているにもかかわらず、慣行で業務を行っていることが結構多い。

特に大手の不動産会社ほど意外にいい加減。

大手の不動産会社の営業マンは大学からの大量採用組の若手が多く、宅建士の資格を持っている人は意外に少ない。

皆、自信満々にセールストークを重ねるが、法的知識は心許ないことが多いのだ。


だいきちがマンションを購入したときも、大手不動産会社の若手営業マンは売買契約時に仲介手数料の全額支払いを求めてきた。

全日本不動産協会では契約時半額・引き渡し時半額を推奨しており、理由を尋ねても、「当社ではこのルールとなっています」の一点張り。

もちろん営業マンの言うことは直ちに法令違反というわけではないのだが、

旧建設省住宅局長通達(住発第298号昭和27年6月26日)の「五 法十七条の報酬について」によると
報酬の受領については、契約成立の際半額とし、代理又は媒介の責任を完了したとき残額とするように指導すること。
と、ある。

これを根拠に業者側をようやく納得させた。

旧建設省住宅局長通達(住発第298号昭和27年6月26日)(国土交通省)

不動産取引は法令が絡んで複雑なものが多いのだが、疑問があれば業者のいいなりになるのではなく、不動産協会等のホームページや根拠法令等を調べ、納得いくまでとことん交渉してみる方が良いだろう。

一生に何度も無い買い物なのだから。



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