2020年1月5日日曜日

アメリカ・イランの軍事的緊張は出来レース?

イランのソレイマ二司令官がイラク訪問中、米軍の攻撃を受け死亡。ネットの一部では「第三次世界大戦の引き金を引いた」と騒がれているが、果たしてこれからどうなってしまうのか?

次はそっちに撃つよ~!
イランは今回の件に対して何らかの報復を叫んでいる。

アメリカとの戦争の危機が高まっているようにも思えるが、だいきちは大規模な軍事衝突には発展しないと見ている。

ましてや第三次世界大戦なんかに拡大はしない。


そもそもなぜ、イランの司令官がイラクを訪問していたのか?

イラクはフセイン時代からイスラム教スンニ派が支配しているものの、人口の6割がイランと同じシーア派の国。

イラクのシーア派には米軍の撤退を求める動きがあり、イランとの連携を図る勢力が関係を強固にするために司令官を招いたに違いない。

しかしイラクは現在も米軍の事実上の監視下にあり、イランの指導者層がイラクに出向くことは相当に危険な行為だったはず。

イランの指導部はなぜ司令官にイラク訪問の許可を与えたのだろうか?


イランの事情
実はイランでは昨年11月、革命以来最大規模の反政府デモが起きている。

ガソリン価格の大幅値上げに端を発し、100近い町で銀行やガソリンスタンド、役所、警察などが放火され、最高指導者ハメネイ師を批判するデモさえ現れた。

このデモに対して政府は実弾で対応。

欧米メディアによると1,000名を超えるデモ参加者が殺されたという。

イラン反政府デモ弾圧、死者1000人超か、米発表(AFP)

イラン政府の屋台骨は実は大きく揺らいでいたのだ。

それに加えてこのソレイマニ司令官は、昨年12月27日に発生したイラクでのアメリカ軍基地への攻撃やアメリカ大使館デモを指導していたとの噂もある。

アメリカにとっては相当危険な人物で、トランプ政権はイランに対してテヘラン空爆か、司令官の首を差し出すかの2者択一を迫った可能性さえある。


アメリカの事情
アメリカは実は産油国。

シェールガスの技術開発が進んだおかげでサウジアラビアを抜き、いまや世界最大の産油国となっている。

世界一の産油国となった米国、覇権国の地位強化へ(NOMURA)

アメリカシェールガスの採算分岐点は1バレル約50ドル。

しかし、世界的に原油生産はダブつき気味で価格は低迷。

その原因は産油国の生産調整が不調なことと、もうひとつは需要の減少。

環境問題に取り組むことは、石油需要の減少を招く。

トランプ大統領がCOP25やグレタ・トゥーンベリを目の敵にするのはこのためだ。

もう一つは米中貿易戦争による中国経済の減速から来る需要の減少。

石油価格低迷の原因はトランプ大統領自身のせいでもある。

石油価格の低迷は米国景気へも影響する。

大統領選挙を控えているトランプ大統領はシェールガスを採算割れさせるわけには絶対にいかないのだ。


利害の一致
ソレイマニ司令官の殺害については、イランとアメリカの利害が奇妙に一致する。

イランはこの事件を利用し、国民をあおってアメリカを非難することで国論をまとめ、現政権は息を吹き返す。

アメリカは原油価格の上昇によって、好景気をなんとか維持させる。

全面衝突などありえない。

すでにアメリカのポンペイオ長官からも、事態をエスカレートしないように努めるとの談話が出ているのだ。

大統領選挙が終わるまで、アメリカとイランは、奇妙な緊張状態を保ち続けることだろう。

国際政治は複雑怪奇・・


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